2018年1月8日月曜日

【T-shirtのタグの価値とは。着る人に何を示してくれるのか。】

いつも熊本発インディーズT-shirtブランド【DARGO】のブログをご覧いただきありがとうございます。


本日はT-shirtの首元に付いているタグについて。


タグは本体の価値を指し示す重要なパーツといっても過言ではなく、そのT-shirtを製作している個人や組織の背景や、全体的なイメージを表現してくれる部です。


今日はタグの存在価値・熊本でT-shirtをつくる上で何故タグが必要なのかをお話したいと思います。





各ブランドがTシャツを製作する際に使用する無地状態のTシャツのことをボディと呼びますが、ボディの入手方法には二通りあります。


例えば大手ブランドの場合ですが、工場でオリジナルで編み立てると製造時に最初から自社ブランドのタグを取り付けることができます。


しかし、無地ボディの製造・卸を生業としている通称”ボディメーカー”から仕入れた場合、加工業者がタグを切り取り、ブランドタグに付け加えることがあります。また、無地ボディメーカーが初期状態時に付けていたタグをそのまま使用し、出荷する販売元(ブランド及び個人)も存在します。


オリジナルボディを工場で生産するのは容易ではありません。
メーカー側が所有しなければならない在庫数と金額を考慮すると大規模なコストとリスクが伴うので、事業規模が小さい時期はボディは仕入れた方が健全だといえます。


インディーズブランドでは、ほとんどの場合がタグは「付け替え式」です。
ボディメーカーと呼ばれる無地Tシャツを販売している会社と契約するか、一般の方ならネットで探して安く購入し、プリント加工を行います。


これらは既存のボディーメーカーの初期出荷時のタグ





【United Athle】は国内でも有名なメーカー。

昔に比べ、最近は製造技術がとても向上しており着心地の良さにファンが多いのですが、有名なだけに使用している国内のブランドが多いのも事実。DARGOも一部T-shirtに使用しています。





こちらの【GILDAN】は海外のボディメーカーです。
カナダの会社で、世界で一番販売しているボディメーカーと呼ばれています。
先日、破産したアメリカンアパレルを買収したのもギルダンですね。





アンビルも有名な海外ボディメーカーのひとつです。80年代のスケートブランド等もよく使用しており、いま使うと懐かしい感じ。(現在USA製は製造終了)




というわけで、仕入れたボディも国内メーカー海外メーカーの二つに分かれますが、特にどっちが良い答えはありません。一人ひとりのお客様が判断することなので、そういう意味で差はないと僕は考えています。


で、このタグですが、ファッション市場ではタグそのものに価値が存在しているのも正直なところです


T-shirtは海外発祥のウェアという歴史的な背景もあり、アンビルやギルダン、ヘインズ、チャンピオン等の海外メーカーのタグはそのまま使用してもなんとなく格好がつくのですが、国内メーカーのタグは使用してもファッション的価値は低いように感じています。


現在は国内メーカーも頑張って良いものを作っていますが、どうしても"既製品"という先入観が頭の中を先走ってしまい、そうではないにも関わらず物足りない雰囲気が出てしまうというか。


『あっ、コレね。はいはい』というような感じで、血沸き肉躍るような感動はなく、T-shirt好きには少し物足りない…。


でも、DARGOも国内メーカーのボディを仕入れて使用しているんです。


それはなぜか?


海外メーカーのボディって、S・M・Lのサイズレンジ(間隔)が大きくて着づらいんです。


Sだと小さいけど Mだと大きすぎる、みたいな。
最初に手に取ったものがサイズ小さいからって次にワンサイズ上を選ぶと一気に大きくなる。


で、縫製がすごく粗い。
縫うクオリティが粗すぎて不良品率も高い。洗濯すると糸がすぐにボロボロとか、よく有ります。


一方で国内メーカーはというと、実はほとんどが中国産。
そして90年代初頭から継続的に生産し続けているので今ではとんでもなくクオリティ上がっています。


日本製で一からTシャツを製作すると単価がとんでもない値段になるのでコストを抑えるために中国で生産しているメーカーがほとんどですが、現地に責任管理者を派遣しているので品質が維持・向上されており、同じ品番でもクオリティにバラつきがさほどありません。


そして国内メーカーのボディは中国産でも、シェアのほとんどが日本国内です。
シルエットも日本人向けにつくられており、誰が着ても似合うように計算されて作られています。


DARGOではお客様にとってメリットが多いのは国内メーカーのボディであると踏まえ、国内メーカーのボディを使用しています。


また、私もアパレル販売員時代の経験古着好きとしての興味


この2つの別角度の経験をロジックを持って掛け合わせることで、その中でもクオリティが高く、肌触りが良い質感のボディをセレクトしています。(なぜUSA製 及び 日本製のボディを使用しないのかは別の機会にお話したいと思います)


で、ここからが本題です。


国内メーカーのボディを使用するにあたって、メーカータグをブランドT-shirtのボディとしてそのまま使用することはクールかどうかという話。


つまりブランドのオリジナルタグを何故付け換えないのかということです。


DARGOではクールでないと判断しているため、国産の高級織ネームタグをオリジナルで製作し、付け換えています。


もちろんそのまま既存のメーカータグでもダメってことはありませんが、そのままだと印象としてクールさに欠ける。


地元柄、熊本には昔から古着屋が多く、往年のアメリカンブランドの各年代のT-shirtを見てきました。


今は有名な海外ブランドも、駆け出しで資金が少ない頃はHANESとかChampionを使っており、ボディメーカーのタグそのままで販売していた時期があることはよく耳にします。


でも、ある年を境にオリジナルボディやメーカーボディにブランドタグが取り付けられ、製品として販売されるようになります。(おそらく売れたことで予算が確保できたからしっかり作りだしたと推測)


冒頭でも述べた通り、タグというのはブランドとしての価値感や姿勢、イメージを表現するものです。
古着のT-shirtを見てきて感じるのは、長い年月を越えて、人々の手元に残っているT-shirtのタグには、そういった想いがデザインとしてギュッと詰め込まれているものが多いです。


既存のタグのままだと、数年後、数十年後、どこの馬の骨のT-shirtか分からなくなりますし、元・販売員として言いたいことは「売ること」だけが目的ではありませんから、お客様には買ってもらったあとも、クローゼットの中からその日のベストな一枚を選ぶ瞬間でさえ楽しみであってほしいんです。


あの時、あのブランドは、こういう姿勢でこれを作ったのかな


生産地・プリント・着心地以外にも着る楽しみが必要というか、オリジナルタグが付いてると自分のワードローブの中でもスペシャルな感じがして、その日の服選びが楽しい。


日本ってデフレが始まると同時に、スマートフォンなどの情報革命が重なったじゃないですか?
安く作って、安く売ると買ってもらえるので、皮肉にも大量生産 大量消費から物質的繁栄を遂げました。


タグも既存メーカーのままにすることでオリジナルタグを製作するコストが省け、販売価格も低価格で売ることが可能になります。薄利多売で数を回して利益を得るのは自由ですが、個人的にはブランドとしてその程度の覚悟のT-shirtを製品化し、販売することに疑問を覚えます…。


ひとつ言えばタグ(織ネーム)って作ると高いんです。
そして1枚あたりの色が増えればコストはもっと大きくなる。


工場も10~20枚とかだと絶対に受けてくれないので、最低でも何百枚とかのロットが必要になってきます。
もちろんT-shirtは20枚しか作っていないのに、タグを300枚とか発注しても採算が合わないことは重々承知していますが…、、、


好きでつくったモノをブランドとして売り、お客様がお仕事されたお給料の中から対価をいただくなら、僕はそれでも気合いを入れてタグをつけるべきだと思うんです。自分が製作に抱いた気持ちや覚悟をT-shirtに乗せるべきです。


僕が手刷りで一番最初に製作したT-shirtがKUMAMOTO CITYっていうT-shirtでした。


SNSでみんなに発表するときに既存タグで手に取ってもらうことは絶対にイヤだったので、最低ロット数は300枚でしたがオリジナルタグをその1枚のために発注しました。


もちろんその後に展開したいデザインも頭の中にあり、事実上のインディーズブランド化することが目に見えていて、それも踏まえて発注しました。
たくさんの目の肥えたお客様のおかげで最初のワンロット300枚はすべて消化。2ロット目ももうすぐ消化しそうな状態です。


タグを製作することで原価コストを支払うというリスクも伴いますが、どういったデザインを提供し、お客様にどんな風になってもらいたいかというお約束の証がタグだと思っています。


本気で一生懸命デザインしたなら、自分がつくった可愛いT-shirtにタグくらいつけてあげても良いのではないでしょうか。それが愛情だと思います。


僕は昔からファッションの街・熊本にて、歴史あるショップ、確かな販売員さんの元で洋服を買ってきました。
いま、僕はその先輩たちが築いた土壌の上で、新しいことにチャレンジさせてもらっています。


そこでの経験値や育まれたセンスが街の財産だとしたら、伝統としてしっかり残さなければならない。


教えてきてもらったコトを活かし、僕よりも上の世代の方にもT-shirtを楽しんでもらうため、そして次の若い世代に街の魅力ある歴史を繋げるためにも、熊本で血の通ったシルクスクリーンT-shirtをつくっていきたい。


常々そう考えています。


そんな中、T-shirtのタグってのは製作者なりの気合いの見せ方なんです…って話でした。




Narimatsu
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